2010年05月27日

BREAKTHROUGH/The Don Pullen George Adams Quartet

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山中湖畔で夏の恒例となっていた「マウント・フジ・ジャズフェスティバル」のイメージソングにもなった「Song from the Old Country」の収録されているアルバムと言った方がよいでしょうか。

今回は、ドン・ピューレン&ジョージ・アダムス・カルテットの「BREAKTHROUGH」です。

哀愁漂う美しいメロディーをもった曲で、当時1万の観客を総立ちにさせた伝説の名曲です。

私は残念ながら生演奏は聴いたことがなく、当時の録音を聴き感動し、そのオリジナルが収録された本作をようやく探し当てて手に入れたのですが、現在入手しにくくなっているのが非常に残念です(ブルーノートなのに・・・)。

双頭カルテットの一方のリーダー、ピアノのドン・ピューレンはそのアバンギャルドな演奏(鍵盤を拳でこねくり回すような奏法)と攻撃的なソロでフリー・ジャズ奏者として分類されるミュージシャンです。

そんなイメージのせいか「フリーはちょっと・・・」と敬遠されがちですが、冒頭の「Song from the Old Country」の作曲者としての作曲能力、美しいリリカルな演奏もこなせる懐の深さは只者ではなく、もっと注目されてしかるべきミュージシャンだと思います。

一方、ニット帽がトレードマークのテナー奏者ジョージ・アダムスは、豪快に楽器を振り上げブローし、時にフリーキーなトーンで咆哮するスタイルがお馴染みの人気者です。

ポピュラーソングも彼の手にかかると立派なJAZZになってしまうように、本質的にソウルフルで歌心に溢れた人で、この点ドン・ピューレンと非常に音楽的な根幹が似ているように思います。

ダニー・リッチモンド(ds)とキャメロン・ブラウン(b)が力強く支えるリズムセクションを背景に、ピューレンとアダムスが熱く燃え上がるかのように自由奔放に飛び回る様は爽快の一言です。

そんなピューレン=アダムス・バンドの日本で一番有名?曲とも言える「Song from the Old Country」が収録されているアルバムが本作です。

このバンドの最高傑作は他に譲るとしてもなんと言っても「Song from the Old Country」でしょう。

この収録後、数年と経たないうちにリッチモンド、アダムス、ピューレンと相次いで若くして亡くなってしまい、今や80年代の熱狂が嘘のようにその存在すら忘れ去られつつある実力派バンドの入門編としてうってつけの1枚だと思います(手に入れにくいのが難点ですが・・・)。

是非聴いてみてください!


初心者オススメ度  ☆☆☆


データ
posted by パンチ at 17:33| 東京 ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | ピアノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月30日

CONCERT BY THE SEE/Erroll Garner

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今年は天候が不順でしたが漸く春らしいさわやかな暖かさが続くようになってきました。

今回のエロル・ガーナーの「CONCERT BY THE SEE」は、そんなぽかぽかした暖かさの中で気持ちよく聴きたい1枚です。

ガーナーのピアノのスタイルは独特のものです。

利き手の左手で強烈なビートを刻み、これがグイグイと前に突き進んでいくスイング感を生み出し、そこに右手のメロディーが若干遅れて出てくるのですが、これが誰にもマネの出来ない「ビハインド・ザ・ビート」と呼ばれる独特の雰囲気を生み出しています。

うきうきと楽しい雰囲気が満ち溢れているのもこうした彼の演奏法によるところ大でしょう。

そんなエロル・ガーナーの代表作と言われるものが本作「CONCERT BY THE SEE」です。何と言っても題名が粋じゃないですか。

1曲1曲は短めですがどれも粒揃いのハズレなしですが、中でもオススメは、否が応でも体が動き出す軽快な1曲目「I'll Remember April」、エレガントで劇的な4曲目「Autumn Leaves」、軽快な中でも次第に興が乗ってくるのか凄みさえ感じさせる5曲目「It's All Right with Me」、お茶目なアドリブが魅力的な6曲目「Red Top」あたりでしょうか。

その名のとおり、暖かな海辺などでのんびり聴いたら最高に気持ちいい1枚でしょうね!


初心者オススメ度 ☆☆☆☆




データ
posted by パンチ at 17:38| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ピアノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月05日

WYNTON KELLY!

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秋本番の今回は、私も大好きなウィントン・ケリーの「WYNTON KELLY!」です。

このアルバムの3曲目「Autumn Leaves」は、ケリーらしく明るく爽快な楽しい演奏で、散りゆく枯葉を「楽しむ」という雰囲気が随所に溢れています。

そのせいか分かりませんが、なぜか子供の頃山に遠足に行った時のような楽しい記憶が呼び起こされます。

ただこのアルバム、近年はちょっと手に入れにくくなってしまったのが難点ですが、よくスイングし、よく歌う、ケリーの長所がよく生かされた名盤だと思います。

本作は歌物を集めたスタンダード集のような趣でどれも粒ぞろいなのですが、中でもおすすめは、実に楽しげに散りゆく3曲目の「Autumn Leaves」、そして6曲目「Sassy」はケリー節全開のブルージーな演奏で一押しです。

軽快にスイングする5曲目「Joe's Avenue」、8曲目「Gone With the Wind」も気分が楽しくなるハッピーな演奏でオススメです。


ちなみに、グラミー賞で有名なトランペッターのウィントン・マルサリスの「ウィントン」は、父エリス・マルサリスが尊敬するケリーの名をとって「ウィントン」と名付けたと言うのは有名な話です。

自分の息子にケリーのようなピアニストになって欲しいと願っていたのでしょうか?


初心者オススメ度 ☆☆☆☆

データ
posted by パンチ at 23:10| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | ピアノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月21日

LEFT ALONE/Mal Waldron

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今回は、ジャッキー・マクリーンの「泣きのアルト」があまりにも有名なマル・ウォルドロンの「LEFT ALONE」です。

マル・ウォルドロンの作品で、「マクリーンのアルトが有名」というのも何なのですが、胸に迫るような悲しみを湛えたアルトの音色がそう言わざるを得ないほどの圧巻の存在感です。

「LEFT ALONE」は、マル・ウォルドロンが伴奏をつとめてきた歌姫ビリー・ホリディを忍んだ追悼曲と言われており、生前彼女が歌っていた代わりをマクリーンが務めているのです。

その主役を失った深い悲しみが楽器を通してひしひしと伝わってきて我々聴く者の胸を打ちます。

現在の我々からすると想像を絶する人種差別の苦しみ、悲しみが凝縮されているようにも思え胸があつくなるのでしょうか。

このマクリーンを聴くためだけでも本作は買いと言えましょう。
(実際、私もそうです。)

そんな聴く者の心を揺さぶる名演なのですが、当のマクリーンは当時の演奏についてまったく覚えていないと言うエピソードもあるようで興味深いところです。

ちなみに本作、本場アメリカではまったく人気がないようです。
日本でこれほど評価されていることを考えると、音楽の嗜好に対する国民性の違いって随分あるんだなぁ、と感じます。


なお、本作でマクリーンが参加しているのは1曲目のみで他はピアノ・トリオの作品となっています。

しっとりとしたピアノの演奏で曲名通りの雰囲気が秀逸な「Catwalk」もオススメで、ベースのジュリアン・ユールが重厚な演奏でいい味を出してます。


初心者オススメ度 ☆☆☆☆☆

データ
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2009年10月11日

RAY BRYANT TRIO/Ray Bryant

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レイ・ブライアントを一言で表現するとセンスの良いピアニストといったことになるでしょうか。決して超一流とは言えないのかもしれませんが、愛すべきピアニストの一人です。

親しみやすくメロディアスなソロが身上ですが、MJQのジョン・ルイスを思わせる上品さ優雅さ、漂う哀愁、そして時折顔をのぞかせるソウルフルでスインギーなタッチ、これを曲によって見事に使い分けるセンスの妙は見事の一言です。

いずれも過剰でなく程良いのがセンスのよさを感じさせる秘密かもしれません。

本作は、そんなレイ・ブライアントの代表作と言えるアルバムで、メロディアスなアドリブが心地よく、リラックスして聴くことができるピアノ・トリオの名盤です。

なんと言ってもオススメは1曲目の「Golden Earrings」でしょう。
メロディアスで哀愁を帯びたメロディ、ソロが魅力的で、レイ・ブライアントと言えばこの曲と言っても過言ではないでしょう。

また、優雅で上品なタッチが光る2曲目「Angel Eyes」、メリハリをつけて軽快にスイングする4曲目「Splittin'」、本家MJQに勝るとも劣らない5曲目「Django」、メロディアスで優雅なアドリブが堪らない6曲目「Thrill Is Gone」、クリフォード・ブラウンの名曲の渋い演奏が心憎い7曲目「Daahoud」など、いずれ劣らぬ名曲揃いで珠玉の名演と言えましょう。

深まる秋にピッタリの1枚だと思います。


初心者オススメ度 ☆☆☆☆

データ
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2005年12月22日

FLIGHT TO DENMARK/Duke Jordan

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今回は、チャーリー・パーカーとも共演していた実力派ピアニスト、デューク・ジョーダンです。


その実力に比してアメリカ本国では正当な評価をされず、その活躍の場をデンマークに求め、現地で録音されたのが本アルバムです。

白銀の世界に佇むジョーダンが描かれた印象的なアルバムジャケットのせいかもしれませんが、寒くなってくるとこのアルバムを聴きたくなってきます。

派手さこそないものの、親しみやすく印象的なフレーズを次々と連発するジョーダンのいぶし銀のピアノは、聴いていてとてもリラックスできるなにか暖かいものを感じるのです。

そんなところが冬になるとジョーダンを聴きたくなる理由のひとつなのかもしれません。

また「イントロのジョーダン」と言われるほどの優れた編曲の才能は作曲にも生かされ、「No Problem」「Jordu」などの名曲の生みの親としても有名です。


そんな訳で、本アルバム全曲オススメなのですが、敢えて言えば、曲の間に突如現れるクリスマスフレーズが印象的な「Here's That Rainy Day」や「Everything Happens to Me」といったスタンダード。さきに述べたジョーダンのオリジナルでは、かのクリフォード・ブラウンの十八番となった「Jordu」や「No Problem」を推しておきたいと思います。

※現在アマゾンでは購入はできないようですが、輸入版で探してみると見つかると思います(スティープル・チェイス 1973年)


初心者オススメ度 ☆☆☆☆☆
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2005年12月03日

CIRCLE WALTZ/Don Friedman Trio

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ドン・フリードマンはユダヤ系の白人ピアニストです。

同じ白人ジャズピアニストのビル・エバンスと比べて語られることも多いのですが、繊細で美しいピアノタッチ、理知的でリリカルな演奏などなど、あまり知られてはいないのですがエバンス好きには受け入れやすいのではないでしょうか。

本作は、そんなフリードマンの代表作といわれているもので、ビル・エバンスのライバルと言われていたことも「なるほど」と思える名演です。フリードマンの醸し出す優しい優雅な雰囲気は、ちょっとオシャレなディナーにはピッタリではないかと思います。

特にオススメなのは1曲目の「Circle Waltz」と7曲目の「Modes Pivoting」です。
どちらもフリードマンの透明感のある美しいピアノタッチがいきる名曲だと思います。

ベースのチャック・イスラエル、ドラムスのピート・ラ・ロッカもいい味を出していて、エバンス−ラファロ−モチアンのトリオに引けをとらない名演といってもよいでしょう。

尚、フリードマンがエバンスと決定的に異なる点は、フリードマンにはエバンスの演奏で時々垣間見られるなにか「狂気」のような凄み(私の気のせいかもしれませんが・・・)がない点でしょうか・・・

初心者オススメ度 ☆☆☆☆☆
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2005年10月28日

This Here/Bobby Timmons

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ファンキーでノリのよいピアノトリオ演奏と言って真っ先に頭に浮かんでくるのは、このボビー・ティモンズのアルバムです。

ティモンズは、アート・ブレイキ−のジャズ・メッセンジャーズやキヤノンボール・アダレイ・クインテットのピアニストとして有名ですが、これらいわゆる「ファンキー・ジャズ」を代表するピアニストと言っても過言ではないでしょう。

ティモンズの繰り出すゴスペル調のフレーズは、とにかくノリがよく、聴く人を楽しい気分にさせてくれ、そして元気を与えてくれるのです。

特にオススメは1曲目の「This Here」、2曲目の「Moanin'」です。
次々とノリのよいゴスペル・フレーズが繰り出される「This Here」、ジャズ・メッセンジャーズの十八番ともいえる「Moanin'」のピアノトリオ版とも言えるティモンズの力強い演奏はとにかく理屈抜きに楽しめるものです。

初心者オススメ度 ☆☆☆☆
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2005年05月03日

Groovy/Red Garland Trio

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レッド・ガーランドと言えばマイルス・デイビスのバンドのピアニストとして有名です。
特に、1957年から61年にかけて録音されたマラソンセッション4部作は特に有名です。
ちなみに、この4部作にはまだまだ未完成なコルトレーンも聞くことができます。

この録音でのガーランドはピリッとしまった良い演奏をしていて、これを聴いて「ガーランドいいな」と思って本人のリーダー作を買ってみると、実のところいまいち良い演奏がありません。

マイルスが目を光らせていないとダメなどと陰口を叩かれてしまうガーランドですが、このアルバムは別格です。

コロコロと実に気持ちよくころがるようなタッチのシングルトーンと重厚なブロックコードを駆使したガーランドのアドリブが堪能できる稀有なアルバムになっています。

全曲良いのですが、特に1曲目の「C Jam Blues」は最高で、ガーランドのアドリブの気持の良さと言ったらありゃしません。
休日の午後、の〜んびり寛ぎながら聴くのにピッタリな1枚です。

初心者オススメ度 ☆☆☆☆☆
posted by パンチ at 23:20| 東京 ☀| Comment(1) | TrackBack(0) | ピアノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年04月15日

Maiden Voyage/Herbie Hancock

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このアルバムは、リーダーのハービー・ハンコック含めリズムセクションはマイルス・ディビス・バンドの卒業生達によるものです。
この作品は1965年の録音で、1950年代後半のハードバップ期のジャズとは明らかに一線を画しており今聞いても新鮮に感じるものです。
ただ、ハンコックはこの後ファンクビートに傾倒してゆくのですが、そういったものを期待していると肩透かしを食らうかもしれません。

一番のオススメはなんと言ってもタイトル曲でもある1曲目の「Maiden Voyoge」です。
春の穏やかな海を思わせるテーマ部分からそれぞれがソロをとっていきますが、中でもトランペットのフレディ・ハバードのソロが傑出しており、その印象的なフレーズは一度聞いたら忘れられないものがあります。彼の演奏の中でもベストと言っても過言ではありません。

テナーのジョージ・コールマンの柔らかいソロも良いですし、トニー・ウイリアムスのメリハリの利いた激しいドラムも印象的です。彼が若くして亡くなってしまったのは残念なことです。

初心者オススメ度 ☆☆☆☆
posted by パンチ at 22:06| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | ピアノ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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